縄文時代のことを考え始めたのは東京湾でハイガイの貝殻をひろったのがきっかけだ。また武蔵野の多摩川やその周辺でもなまなましい貝の化石(まだ化石といえるかどうか)が多数でてきて、BC4000年をピークとする縄文海進(温暖化で海面が上昇する)のことを思うのだ。そんな縄文時代を貝塚や遺跡の出土品、また多数の論文から水産魚貝類の分野で解説推論してくれているのが本書である。東京湾千葉県側にある巨大な貝塚からの大量のカキ殻、ハマグリの貝殻。なぜ単一種がまとまってあるのか? ここから推測する縄文期の地域交流。またなぜか千葉県だけに出土する大量のイボキサゴに関する記述もなかなか踏み込んでいるように思える。青森の三内丸山遺跡からみる魚食、また現在の陸奥湾に棲息する魚貝類との種の比較も斬新で面白い。魚貝類の関心があるなら必読書のひとつ。
角川選書 1500円 2001年
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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面白すぎる 浮かれ三亀松 吉川潮
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