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 我が国で市販されている動物図鑑といえば魚類、甲虫、ほ乳類、軟体類など様々各種揃っているように思えるが、いざ海辺で出合った生き物のことを調べようと思うと、その多様性のためにぜんぜん種名までたどり着けないものが多すぎるのに気づく。フジツボ、カメノテなどの蔓脚類もそんなもののひとつ。
 この『フジツボ類の最新学』はその意味で非常にありがたい本である。蔓脚類の基礎知識から最新の分類まで比較的わかりやすく読めるし、また一般人にも理解できる。
 ただ残念なのは6800円という高価なものにするなら図鑑としての機能を一カ所にまとめて欲しかったこと。最初のグラビアに写真が後半に検索がのっているけれどこれはあまりに不便である。今の印刷技術からすると、もっと便利なページ立てが、この値段内でできたと思う。

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恒星社厚生閣 6800円

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 相模湾の生物にもっとも熟知されているのが葉山しおさい博物館の池田等先生だ。その長年の研究成果とも言える貴重な写真を多数使い、また懇切な検索法も細部の絵柄とともに語られているのが本書である。甲殻類の図鑑は少なく、また一般的な書はほとんどない。そんなときに相模湾と限定されてはいても、これだけ優れた図鑑を作られた意義は大きいだろう。
 蟹類とあるが多数の異尾類も掲載されている。深海に生きる多彩な甲殻類の図版には少なからず感動するに違いない。
 甲殻類の専門家はもとより、相模湾の自然や生物に興味がある人々にはかけがえのない1冊である。
 手に入れたいと思う方は「葉山しおさい博物館」に問い合わせを
葉山しおさい博物館は
http://www.kanagawa-kankou.or.jp/area/shiset/hayama/130.htm

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