釣り人のための遊遊さかな大図鑑-釣魚写真大全 中坊 徹次 エンターブレイン 2007-06-27 売り上げランキング : 18371 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
まずはこの図鑑、扉に「釣り人のための」とある。それは本当に「釣り人のためなのか?」、いやそんなに単純ではないらしい。
先週のこと沼津魚市場にナガユメタチモドキが揚がった。それを老練な仲買人である。菊地利雄さんが特急便で送ってくれた。
『遊遊さかな大図鑑』を監修した、中坊徹次さん編の『日本産 魚類検索 全種の同定』でやっとナガユメタチモドキに辿り着き
「菊地さん、種類がわかりました」
と言うと途端に
「ナガユメタチモドキっていうんでしょ。私も調べられました。魚大図鑑でしたっけ、すぐわかりましたよ。ハハハ......」
なんだかうれしそうなのだ。ということで沼津魚市場では「仲買のための」となっている事実を書いておきたい。
また別に魚のプロや釣り人でなくてもこれほど便利な魚類図鑑は少ないだろう。今、魚のことを知りたい人、魚初心者はけっして「釣り人のための」の文字を気にしないように。
その内、我が家でも本図鑑を開ける機会が多くなってきた。例えばニジョウサバ、ヤマブキハタなど、検索図鑑の図版では色合いがつかめないときには、そく『遊遊さかな大図鑑』の登場となる。なかにはイスズミ科、メジナ科など検索の難しい魚種に関して画像での検索もついているのが凄い。間違いなくこの2科に関しては以後どれだけお世話になるかわかったもんじゃない。まったく小西さんに「ありがとうね。ありがとうね」とお礼を申し上げながら検索することにもなりそうだ。
さてさて、その検索も出来る、写真も美しい図鑑であるが、ところどころに小西英人さんの遊びが見つかる。第一、ハードカバーを開いて最初に登場するのがデカイヒラマサでもカッポレでもなくハオコゼというのが憎い。次にはオオスジイシモチだ。ともに釣り人が釣りたくない魚の5本の指には入るものたち。「釣り人のための」だけど、にくったらしいのや、困った魚も邪険にはしないよ。もしくは「釣り人よ、外道もおんなし(同じ)魚じゃーねーか」なんてせりふがフーテンの寅さんの言い回しで聞こえてくる。
いかん、長文になりすぎてしまう。結論としては検索のためにも、また写真を楽しむ上でも、当然のごとく文章まで楽しめるので素晴らしい図鑑であるのだ。
本の満足度
満足度★★★★☆
満点ではない理由はときどき改訂、また新しく作り直して欲しいため
詳しいことは『WEB魚図鑑』へ
http://fishing-forum.org/zukan/index.htm