タイトルを見てすぐに買ってしまった。とても魅力的な本である。沈性卵、浮性卵などマダラ、スケトウダラで違いがあることや、食感にそれぞれ違うんだなと漠然と考えてはいたが、本書をして頭の中の整理がついた気分である。
本書はまず食品としての卵から章が始まる。これが非常にわかりやすい。例えば、「たらこ」はタラの子ではなくスケトウダラの子というのは当たり前でも浮性卵の方が軟らかく、これが食味に影響していること。こんな出だしは門外漢にはありがたい。そして卵の表面の顕微鏡画像から見えてくる複雑な模様、これが時に科の段階で共通したり、また科も目も関連のない魚で似通っていたり、これが生息域や産卵方法で収斂したものである加工性も面白いし、卵を考える上で多くのヒントを与えてくれる。
ちょっと残念なことはページ数が少ないことだ。出来たら上下2巻にして各章をもう少し掘り下げてもらいたかった。
成山堂 ベルソーブックス017 1600円
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
ぼうずコンニャクはすすめない 『サバの文化誌』田村勇 後の記事 »
一気に読める『二葉亭四迷の明治四十一年』関川夏央
コメントする