始めに述べて置くが新刊本屋で本書を手にしたときまったく購入したいと思わなかった。これは定価2200円に値しないと思ったためである。それを古本屋(神保町 大雲堂)で1200円で売っていて、資料として持っていてもいいだろうと敢えて買ったのだ。ちなみに大雲堂はこの分野のものも専門に扱う店で、分野の本の値段は言うなれば評価だと考えていい。現に新刊本で並んでいるものが半額なのだ。まず、この本の問題点は著者にあるのか編集者にあるのか疑問である、そこのところをふまえて読んで欲しい。
まずいけないのが情報源が原文ではなく事典や小説からのものを平気で使っている。また情報源があまりに少ない。少ないと言うことでサバというものを著者自体が把握していないように思えるのだ。例えばサバには2種類いる。マサバとゴマサバであるが、この2種は鮮魚流通でも加工業でも大きな違いを持っている。またサバ属の幼魚や小さなものもそれぞれ取り扱いが違うのである。そんなことを述べてからすすめるべき漁や食べ方の話が、これがないために、また調べたデータ量が少ないことも相まって散漫で不正確なのだ。このことは信仰や文芸、流通など総てに共通する。また同じことの繰り返しが多いのも編集方法として不思議だ。
サバに関する資料として持って置いても悪くはないが、その資料の信頼性は薄い。サバに関する本は少ないので、もっとしっかりした編集と資料集めをして欲しかった本。
雄山閣 2200円 2002年
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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一食抜いても買うべき 『魚の卵のはなし』平井明夫
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