『食の昭和史』白井貞著 つくばね叢書 1900円

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 中学、高校と日本史で習うのはせいぜい明治期まで、意外に知らない領域が昭和の歴史なのだ。平安、奈良などと違い、自分自身が生きて、そしてまだまだ庶民の生活に関する実体験や資料が数知れず、当たり前だが残っている。その昭和をボクは知らないのだ。
 本書の著者である白井貞(敬称略とさせてもらう)は大正12年生まれである。この1923年は関東大震災の年。そして昭和元年には著者の物心つく時期とも重なるのである。昭和16年、大妻技芸学校(多分今の大妻女子大)家政学部を卒業して、労研(労働科学研究所 この研究所で思い浮かぶのが“労研饅頭”だけというのが恥ずかしい)に就職。戦中戦後の食糧難のとき、また復興期、そして現代にわたって栄養調査をし、そして管理栄養士として常に一線で活躍されてきた。
 その企業での栄養士としての献立や、また当時の食糧事情などが綿密に書かれている。面白いのは戦中の外食券食堂、雑炊食堂などの現在の大衆食堂の起源ともいうべきものの調査。そこで食べられていた料理の材料。また新潟の企業での献立や、また二本木という土地での名物が「どじょうの蒲焼き」であったこと。また当時のクジラの利用なども非常に興味深いのである。
 さて魚貝類を調べているのでついつい興味のあるところだけを書き上げたが、ここには昭和を、またいちばん苦しい時代を生き抜いた女性の歴史が見えてくる。これだけでも読む価値大。

この本の満足度。5★満点で
★★★★

つくばね舎
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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このページは、管理人が2007年2月12日 12:10に書いたブログ記事です。

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