4月29日
『貝に魅せられた一生』(東薫 築地書院)
★★★★
日本貝類学会の初代会長であり、我が国の貝類学を確立したのが黒田徳米。貝の収集、輸出を行っていた平瀬家(与一郎)のところに丁稚奉公から初めて、我が国に置いての貝類学が確立するまでを黒田徳米の生涯をとおして描いている。定価1400円
『日本貝類方言集』(川名興 未来社)
★★★★
貝の各地での呼び名から、民俗学的な「遊び」「信仰」、また食べ方まで膨大な事項を列記している。貝のことを調べるときには無くてはならないもの。定価15000円。古本屋では1万円前後
4月27日
『土佐の魚たち』(落合明 丸ノ内出版)
★★★★
1970年にでた本であるが古本屋などで比較的手に入りやすい。「土佐」とあるけれど文章は魚類全般であり、その資料的価値や、内容は深い。また高知大学時代の蒲原稔二との関わりや高知市御畳瀬での魚の採集など魚類学史の資料としても見逃せない
『かごしまの魚譜』(今井貞彦 筑摩書房)
★★
鹿児島で見られる魚たちを一般的に解説。文章も決して悪いわけではないのに得られる情報の価値は低い。もっと鹿児島ならではというものが欲しい。
4月25日(日)
『イルカいないか』(鳥羽山照男 マリン書房)
★★★★
著者は我が国では有数のイルカの飼育・調教者である。イルカを捕らえて、それを水族館で飼育するという課程を非常に読みやすい文章で読ませてくれる。資料的な価値も高い。980円
『美味しんぼの食卓』(雁屋哲 角川書店)
漫画「美味しんぼ」というのは若い世代にも、いい年をしたおとっつぁんにもやたら影響を与えている模様で、今やこの漫画の主人公のような「こだわり」をあちらこちらで見かける。ただ、どうにも好きになれないのは、あるときは「庶民主義」をかかげながら、やはり庶民ではまねのできない食生活ばかりであることだ。
4月23日(木)
『北のさかな物語』(門脇啓二 北海道新聞社)
★★★★
北海道の漁業で代表的なもの、サケやキチジ、ウバガイ(ほっき)、ホタテと実際に現地へ赴き現状を書き記している。土地土地の漁業の問題点、そこから派生する暮らしぶりなど読みやすい文章で書かれ、資料的価値もある。
『さかなの干物』(竹井 誠 岩崎書店)
★★★★
1967年の本であり、今のように添加物に対する悪いイメージのなかった時代に書かれてもの。味わいよりも衛生的であるとか「保ち」のことが大きな意味合いを持っていたことがわかる。またアジサバはもとより、ウミタナゴ、カワチブナまで多種多様な干物が取り上げられているのは資料的に貴重。神保町大雲堂で1200円
4月21日(水)
『海底動物の世界』(菊地泰二 中央公論社)
★★★★
海底動物というとベントスかなと思うが、もっと広く海洋生物のことが書かれている。何編かに分かれているのだが総て面白く有意義。特筆すべきは生物学的な用語や専門的な事柄も面白く読めて理解できる。古本屋、明倫館書店で700円。定価1200円
『割ばしの旅』(おおば比呂司 旺文社文庫)
1970年代というのはディスカバージャパンとかアンノン族をか国内旅行が盛んでした。当時はまた旅行記の出版も多かった。これは画家である著者が軽妙洒脱な文章と絵で綴ったもの。古本屋、とかち書房で200円
4月20日(火)
『児島湾』(同前峰雄 岡山文庫)
干拓がすすむ前、岡山県児島湾は深く入り込んだ広大な干潟であり、有明海同様に様々な干潟漁が行われていた。それを自信漁師である著者が詳細に綴る。今は絶滅の危機にあるイタボガキ(ぼたんがき)、有明海に残るスミノエガキ(だいなん)が児島湾に棲息していたなんて、今は幻そのもの。一級の資料。800円
『密約 物書同心居眠り紋蔵』(佐藤雅美 講談社文庫)
疲れたときに必要なのは佐藤雅美の小説です。ナルコレプシー(?)という阿佐田哲也が罹病したことで有名な奇病に犯された同心を主人公にしたシリーズ。突然眠ってしまうがために窓際族に追いやられた主人公がついつい事件に関わって手柄にならないのに解決してしまうというのがミソ。629円
4月19日(月)
『海の味』(山下欣二 八坂書房)
★★★★
わけ(イソギンチャク)から、エラコ(ゴカイ)、そしてイルカと水産珍味が目白押し。これを宮島水族館副館長の著者が取り寄せ、採取し自ら食べる。文章も明快でスルスル読める。1900円
『蟹』(酒井恒 講談社)
★★★★
学術書というよりも一般向けの読み物。1編1編が独立していて、どこから読んでも楽しめる。すなわち編集が行き届いて読みやすい。甲殻類(カニ)の入門書として必読のもの。1400円
『水産加工品総覧』(三輪勝利 光琳)
★★★★
乾製品の身欠きニシンから練り物、燻製にしおから、缶詰などなど辞書的に使える。非常に便利な本。
4月18日(日)
『カレイの裏とおもて』(大石慶一 恒星社厚生閣)
★★★★
カレイで一冊の本を作るというのはそれだけで大変なことであるが、内容の濃さもただものではない。味わいから生態、また形態的なことまでカレイのことで疑問が湧くとこの本を見る
『富山湾の魚たちは今』(富山県水産試験場 桂書房)
★★★
富山湾を代表する魚貝類の漁や資源、生態的なことまで短く簡略に解説して便利。ただし散漫な気がするのは編集の悪さからではないだろうか? 残念。
4月17日(土)
『たべもの紀行』全刊(読売新聞大阪社会部)
★★★★
これは私の中学・高校時代(昭和40年代後半からNp年半後)にもっとも楽しみにしていた読売新聞のコラム。古本屋で見つけてきては買っている。いったい何巻あるのかわからないまま、いまだに古本屋では目的のシリーズである。郷土料理というものにあこがれというか、興味を持ったのが、本シリーズの「鹿児島の酒ずし」のコラムからである。古本屋で300円前後。定価980円
4月16日(金)
『旬の魚河岸北の海から』(川嶋康男 中央公論社)
★★★
明快な文章、地元に密着したもので、実際に食べに行くために、買うための住所電話番号がのっているなど便利極まりない。1400円
『遠い「山びこ」』(佐野眞一 文春文庫)
★★★★
魚貝類に関する本を中心にということでは外れますが、この本には教えられることが多い。無着成恭と言う人はぼうずコンニャクが尊敬する永六輔の言葉から、また尊敬すべき人になったという、あまり褒められた経緯ではないのですが。この本を読んで、戦後の教育者としては真摯でしかも努力を惜しまなかったのだなと思いました。そして魚貝類のサイトの読書日記で、これを取り上げたのは、昭和30年くらいまでは直接的に「餓死」することはないまでも、やはり「飢えていたのだな」ということ。また山形県山元村(現上山市)ではほとんど魚貝類を食べることはなかった。もし食べるとしても塩鰯くらいであったということなど、中心となるものの脇に食を鑑みるヒントがあります。
4月15日
『江戸城』(村井益男 中公新書)
★★★★
江戸という地名の起源や、太田道灌の築城、徳川家康の御打入り、そして江戸期の変遷まで盛りだくさん。歴史書としては希薄であるが非常に便利なもの。540円
『貝の和名』(相模貝類同好会)
貝の和名を辞書形式で解説。日々なくてはならないものとなっている。アコヤガイの由来が知多半島の地名による、スガイのフタを酢に浸すとくるくる回ることで「酢貝」となったなど、読み物としても優れている。
『霞ヶ浦風土記』(佐賀純一・文、進・絵 常陽新聞社)
★★★★★
霞ヶ浦に住む人々からの聞き書きを、これはなんと表現したらいいのだろう。まるで物語を読むように、読まされれ、その世界に引き込まれてしまって…。そこで描かれる生活はときに悲惨ですらあるのに暖かい。霞ヶ浦の漁や魚貝類のことも詳しく語られている。
2800円
4月14日
『北の味たんけん』(本間浩昭 毎日新聞社)
★★★★
キタザコエビ(美味)、オホーツクホンヤドカリ(微妙に美味)などから茸、木の実まで一般的な食の本では取り上げない物を網羅している。見ていて楽しい上に資料的な価値もある。定価2000円
『にっぽん雑魚釣り紀行』(大崎紀夫 新門出版社)
★★★★
大崎紀夫は詩人である。彼が書いた本はすべて持っていたいと思う。日本各地を野宿いとわず旅をする。そして川や湖で雑魚(オイカワ、カワムツなど)を釣る。気持ちがふさいだときの特効薬。古本屋で1000円、定価1100円
『今ものこる江戸の老舗』(吉村武夫 河出文庫)
★★★
資料的価値はあるものの、読み物としては無味乾燥。古本で100円、定価460円
『蒲鉾太平記』(小林伸男 神奈川新聞社)
★★★
戦前戦後をとおして小田原に練り物(蒲鉾)製造という一大産業が興った軌跡を小説仕立てで「読ませる」。資料的価値もある。古本で500円、定価1200円
『東西味くらべ』(谷崎潤一郎 角川春樹事務所)
★★★
文庫本ほどの大きさのアンソロジーである。1915年の小説の抜粋から1960年のエッセイまでの多彩な食に関する文章が並ぶ。「鮨の立ち食い」、浅草海苔のことなど資料的な価値もある。古本で300円、定価1000円
4月13日
『江戸前の魚』(渡辺栄一 草思社)
★★★★★
魚貝類の本ではベスト1かも知れない。タイトル通りの江戸前でとれる魚貝類のこと。また千倉など外房でのマサバ漁、内房は勝山の捕鯨のことなどが、実に明快な文章で綴られる。資料性も高く、必読書だと思う。1200円
『反骨人生』(鈴木久仁直 ろん書房)
★★★★
名著「江戸前の魚」の著者、渡辺栄一氏の奇跡をまとめたもの。ここには千葉県をはじめ漁業や環境保護などの戦前戦後史がみることができる。1223円
『江戸食べもの誌』(興津要 旺文社文庫)
★★★
旺文社文庫というのは今から20年ほど前くらいまで(1980)は様々な分野や多彩な作者を要して魅力的であった。それが突然本屋から消えて旺文社が文庫本から撤退したときには落胆したものだ。本書もそのひとつ。ねぎま、鰻蒲焼、深川飯などときどき出しては読み返している。古本で200円
4月12月
『こちら東シナ海』(浜崎正幸 葦書房)
★★★★★
以西底引き網の漁師である著者が漁の模様、船上での暮らしなどを素晴らしい文章で綴る。何度も取り出して読んでるが、そのたびに夢中になるほど魅力的な本。以西底引き網に関しての資料性も高い。1957円
『にっぽん雑魚紀行 魚派列島』(甲斐崎圭 日本交通公社)
★★★★
1992年に出版されたもの。各地の港・漁を見てと素晴らしいルポルタージュ。難点は著者があまり魚貝類に詳しくないこと。この著者のルポにはしばしば魚名の間違いがある。1600円
4月11日
『東海の魚』(片岡照男 中日新聞本社)
★★★★★
主に伊勢湾でとれる魚貝類を紹介した本。片岡照男先生には一度だけお会いしたことがあるが、控えめなご性格なのか、東海の魚に関してあまりお聞きすることはできなかった。当時は鳥羽水族館の副館長でいらしたが、今はどうであろう。魚貝類というか、海産生物に関しては稀代の名著。魚貝類、海産生物を勉強するなら、この本からというのがおすすめ。ワクワクして読んでいたのが懐かしい。980円
『全日本「食の方言」地図』(野瀬泰申・日本経済新聞社)
★★
「あなたは天ぷらにソースをかけて食べますか?」(ぼうずコンニャクは四国生まれですが、ソースかけます)というのにひかれて買ってしまった。ただしネットの掲示板に来た情報を羅列しただけで、ちょっと内容に乏しい。1200円
4月10日
『山びとの記』(宇江敏勝・中公新書)
★★★★
戦前戦後を通じての紀伊半島の山岳部の人々の歴史や生き様などが、素晴らしい文章で描かれている。資料的な価値も高く、新書という廉価なもので読めるのはありがたいもの。480円
4月9日
『釧路のさかなと漁業』(桜井基博、山代昭三、川嶋昭二、尾身東美、阿部晃治・釧路叢書 釧路市 1972)
★★★★★
神保町の古本屋「とかち書房」で購入。3000円
今から、30年前の釧路の漁業、漁獲魚貝類が詳細にしかもわかりやすい編集で書かれている。特にエビ桁曳網のこと。それでとれるヒゴロモエビ、ホッコクアカエビ、トヤマエビなどのことが詳細に述べられていて目から鱗とでも言えそうな記述多し。
4月8日
『定本武江年表下』(今井金吾・筑摩文庫)
★★★★
江戸は神田の町名主、斎藤月岑が作成した。江戸庶民の年表。江戸の風俗、祭事など常備しておきたい本。1400円税別
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
2004年の読書日記02 後の記事 »
10月4日
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