我が国で市販されている動物図鑑といえば魚類、甲虫、ほ乳類、軟体類など様々各種揃っているように思えるが、いざ海辺で出合った生き物のことを調べようと思うと、その多様性のためにぜんぜん種名までたどり着けないものが多すぎるのに気づく。フジツボ、カメノテなどの蔓脚類もそんなもののひとつ。
この『フジツボ類の最新学』はその意味で非常にありがたい本である。蔓脚類の基礎知識から最新の分類まで比較的わかりやすく読めるし、また一般人にも理解できる。
ただ残念なのは6800円という高価なものにするなら図鑑としての機能を一カ所にまとめて欲しかったこと。最初のグラビアに写真が後半に検索がのっているけれどこれはあまりに不便である。今の印刷技術からすると、もっと便利なページ立てが、この値段内でできたと思う。
恒星社厚生閣 6800円