この新井由己さんというのは『とことんおでん紀行』という原チャリで北海道から沖縄まで「おでんを食べて縦断する」という本を書いた人。それだけでも期待するところ大なのだが、今回のは少々もの足りない。たしかに出汁の基本が牛肉にあること。具の黒はんぺん、なると、など静岡ならではの練り物の歴史や、静岡のおでんの特異性など得ることは少なくない。でも情報量として一冊の本を作るには少なすぎる気がしてならない。
また、この本にはおでん材料としてのイルカのことが抜けているのだ。たぶんほんの大阪万博あたりまでイルカのおでんは珍しいものではなかっただろう。まだまだ牛肉が高級だった頃、ひょっとしたら出汁の基本はイルカの脂身だった可能性だってある。
大浜公園、草薙球状、おでん横町、地元受けすることが多すぎるのもなんだか嫌な感じ。できれば静岡県人以外にも楽しめるネタが欲しかったな。ということでネットで本を買う怖さを思い知ることになった。
この本のボクの満足度は★★☆と少々不満足。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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